(1)判型
 主として原稿の内容および分量で決まります。図、写真、イラストが多い場合や文字を大きくしたい等の要素もあります。著者の希望なども考慮されます。
(2)組み方
 縦組み(右開きの本)と横組み(左開きの本)では本の開き方が逆です。一般的に小説や文学は縦組み、英数字や数式を多用する技術書には横組みが多くなっています。
(3)フォント(本文)
 フォントの大きさはある程度判型に比例します。最近は新聞文字も大きくなるなど、文字の大きさは読者対象の読みやすさを十分に考慮する必要があります。フォント(明朝、ゴシック、ジュン等)はメーカーによってもイメージ見た目が違います。例えばDTPフォントの明朝でもモリサワのリュウミンとフォントワークスのマティスではイメージが大きく違ってきます。大きさもR、B、H、M、U等数多く存在します。

フォントはメーカーによってもこんなにイメージ、見た目が違う。
壮年者
12級以上
満10歳の児童
13級以上
満 9歳の児童
15級以上
満 7歳の児童
16級以上
満 5歳の児童
18級以上
 一般論として年齢別の使用活字の目安として、次のように考えられています。
(4)版面(はんづら)
 本文使用フォントの字詰め・行数・行間・段数・段間を決定することによって決まり、これを「基本版面」と呼びます。基本版面は、本の判型に対して相似形をなすのが自然の形です。
 基本的には版面をはみ出さないようにします。
(5)柱、ノンブルの大きさ
判 型
本 文
柱 ノンブル
A5判
14級・13級
12級・11級
12級
11級
B6判
13級
11級
12級
11級
B6判以下
13級・12級
11級・10級
 ノンブルの大きさは、デザイン上の見せ方こだわった場合等、特殊な場合を除いて通常本文より小さくします。白抜きやアタリ罫を付ける場合もあります。
(6)柱・ノンブルの位置
 柱・ノンブルの位置は本のイメージ、読みやすさを格段に変えます。従って造本設計段階で慎重に検討する必要があります。必ずこうしなければいけないという決まりはありませんが、目安として当社の本の場合と一般的な場合を提示します。
(1)当社の場合
1)オーソドックスな縦組みの場合
           (原発国民世論より)
2)デザインと視覚を重視した縦組みの場合
           (エネルギー環境史IIより)
 
 
3)オーソドックスな横組みの場合
            (安全の探究より)
4)デザインと視覚を重視した横組みの場合
           (高レベル廃棄物より)

(2)縦組みの場合
1)柱・ノンブルとも
 に本文の小口(側
 面)に入れる場合
(縦組み・図1参照)
2)柱を天の小口寄りに
 入れ、ノンブルを
 地の小口寄りも

 入れる場合
(縦組み・図2参照)
3)柱・ノンブルともに本文の天
 または地に置く場合

(縦組み・図3A,3B参照)


本文と柱・ノンブルとのアキは、本文使用フォントの全角またはやや広くする。

(3)横組みの場合
4)ノンブルを天の小口にそろえ、
 柱を天の中央に置く場合
  (横組み・図4参照)
柱・ノンブルともに本文と同じ流れになり見にくくなるので、本文とアキを本文使用フォントよりやや大きくする。
(7)柱のたて方と字割(字アキ)
 (1)両柱方式  :偶数ページに大見出し(章など)、奇数ページには小見出し(章・節・項)を掲げる。
 (2)片柱方式  :奇数ページのみ
 (3)柱をつけない:体裁の上から柱を省略することがあるが、出来る限りあった方が読みやすい。

 また、章トビラなど場所によって柱を省略することもあります。

 柱の字割は本文中の見出しの字割に準拠するか、天あるいは地の小口寄せに柱が置かれる場合には、なるべく詰めぎみにするのが基本です。基本は読みやすさであるから極端に長いものは省略する必要があります。縦組みでも横組みでも、版面の大きさや本文における見出しの割り方なども考慮に入れて、それぞれにつり合いのとれた設定にすべきでしょう。
 当社では学会や研究会の学術論文を手がけることが多く、多勢の筆者によって書かれたものを、一冊の本にまとめることがあります。こような場合の柱には、各論文の後に筆者の姓を括弧に入れて示すと親切です。なぜなら読者は著者名を索引代わりに利用するケースが多いからです。また、多くの場合自分の名前が出ることに喜びを感じるものでしょう。あまりにも長く版面の半ばを超えてしまう場合、体裁上見苦しくなるので、当然要約したほうがよいです。横組みの柱の場合には、体裁上、数字や句読点を横組み用に直した方がよいでしょう。
(8)ノンブルについて
 ノンブルはどのページからスタートするのでしょう?
 市販の本を見てみると本文の1ページ目のノンブルが7になっていたりします。一般的に多いのは本トビラを1ページとしてスタートするケースです。目次や前書きを除いて本文のスタートを1とするケースもあります。いずれの場合も縦書きであれば左、横書きであれば右、のページを1とすべきです。要は読みやすいことが重要であるので、せいぜい目次をローマ数字とするくらいであまり複雑にしないことが大事でしょう。
 本来ノンブルは全ページにつけるものですが、体裁上中とびらや半とびらにはつけないことが多いです。ノンブルは一定の位置に置かれていることに意味があり、ページによって勝手に位置を変えることはすべきではありません。印刷工程では面付けの際にノンブルを基準とします。従って印刷の指示ではコピーを取って全ページにノンブルを入れるようにします。
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