〈校正するにあたって確認すべき事項〉
(1)著訳者の漢字・仮名づかい・送り仮名に特異な使用法がないかどうか。著訳者の校正にたいする要望があるかどうか
(2)原稿の整理はどんな方針で行われたか
 ・漢字の字体や使用方針
 ・送り仮名の方針
 ・仮名づかいの方針
 ・その他の表記で注意すべき事項
(3)原稿指定について注意すべき事項にはどんなことがあるか。見本組があれば手元におくと便利である
(4)細部の組方の方針(組方原則)を確認しておく
(5)その本の内容構成はどのようになっているか。また、その中で未着原稿はないかどうか
(6)続きもの、シリーズものなどであれば、既刊のどの本を参考にするか。あるいは著者のどの著作を参考にするか
(7)著者校正は何校まで行われるか
(8)2人以上著者がいる場合は、表記上の不統一がおこりやすいので、あらかじめ方針を立てておく必要がある
(9)翻訳書の場合は原書を手元に置くと都合が良い
〈文字の照合の他に確認しておくべき事項〉
(1)使用活字・字詰め・行数・行間などは指定どおりに組まれているか
(2)柱・ノンブルの位置・使用活字の大きさと書体
(3)見出しの活字の大きさと書体、行どり、字下がり、字割
(4)改丁と改ページと追込みは指定通りに組まれているか
(5)篇・章・節など見出しの順序。注番号・図版番号の順序
(6)注・引用文などの字下がり
(7)目次と本文見出しの不統一はないか。また、ページ数は正しいか
(8)図版の位置は正しく入っているか
(9)ノンブルの数字は正しく入っているか、柱と見出しの不統一はないか、またそれらの位置や書体は正しいか
 
〈著者校正の注意事項〉
(1)用字・用語の不統一、記事の内容についての疑問は、校正刷りの箇所に付箋を貼っておき、著者・編集担当者と相談して処理する
(2)校正刷りを著者に送る場合は、必ず校正の終わった校正刷りを送るようにする。この場合原稿も必ず送るようにする。著者校正を受け取る時にも原稿を再度預かる
(3)著者より返送された校正刷りは、校正者の疑問が解決されているか。著者の書き入れた赤字に問題がないか点検しておく
 


〈赤字引合せの注意事項〉
(1)赤字引合せをする際は、見落としを防ぐ1つの方法として、初校の赤字を左手に持った鉛筆で確認が済むと1つ1つ消してゆき、ひととおり終わった段階で確認もれがないかどうかを点検していくとよい
(2)1字の差し換えの場合、近くの似た文字を直すことがあるので、差し換え違いがあった場合は近くも点検しておく
(3)字送り・行送り・部分的組替えがあった場合、その近くが乱れていることがあるので、その付近全体を見直しておく
 
〈素読みの注意事項〉
素読みでは、内容および誤字・脱字・衍字に注意するが、以下の点にも注意する
(1)素読みの際、疑問や不確かな点が生じた場合は、必ず原稿を参照する。疑問は、校正刷りの箇所に付箋を貼っておき、著者・編集担当者と相談して処理する
(2)素読みの効果のない数字や固有名詞はあらためて原稿と照合し確認する
(3)用字・用語に不統一がある場合は、どのように処理するか方針を立てる必要がある
(4)引用は必要に応じて原典にあたる
(5)数表や百分比がある場合は計算してみる
(6)西暦年とそれに付記した日本年号のくい違いはないか確認する
(7)参照ページが出てきた場合は、本文のそのページを参照してみる
(8)注番号の位置、番号の順序を確認し、注と本文を照合しておく
(9)文献が表示してある場合は、文献のあげ方を確認しておく。欧文の文献の場合は、書体にも注意する(イタリック体か立体か)
(10)図・表の番号の順序、図・表と本文の照合をする。また、図・表のネーム組方。図・表と本文のアキを点検する
(11)図版が組まれている場合は、図版の説明と本文の用字・用語に不統一がないか点検しておく
(12)見出しの順序、見出しの組方(書体・大きさ・字下がり・行どり・字割など)を点検しておく
(13)柱の内容、柱の組方(位置・書体・大きさ・字割など)を点検しておく
(14)ノンブルの順序、ノンブルの組方(位置・書体・大きさなど)を点検しておく
(15)ルビの付け方(総ルビかパラルビか)、ルビの組方(肩付きか中付きか)を点検しておく
(16)シラブルの切り方を確認しておく
(17)見出しと目次の内容、ページ数を照合しておく
(18)索引と本文を照合しておく
 


(1)進行予定との関係で多少の赤字があっても、責任校了(責了)とすることがある。どの程度の赤字で責了とするか判断は難しいが、入朱が多いページがある場合は、部分的にその台だけ念校するか、その部分のページだけを抜念とするかして確認するとよい
(2)責了紙への赤字の記入は、正確明瞭に記入し、差し換え違いが起こらないようにする(赤字を青鉛筆でマークするとか、訂正のあるページに付箋を貼っておくと分かりやすい)
(3)責了紙の入朱の控えをとっておく(刷りだし点検に便利)
(4)念には念を入れて、次のような事項を点検しておく
 ・本文と目次の照合
 ・前付き・後付きの内容の確認。特に奥付けについては、記載内容(著者名・定価など)を確認
 ・見出しの順序の点検
 ・注番号と注記との確認
 ・図・表の位置を点検
 ・その他、全体を通覧し問題になりそうな部分を点検しておく
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